An Editor in columns コラムの中の編集者
ロシア文学を専門に出版している群像社の編集者がつづるエッセイ、日記、本の周辺をめぐる話から日々の雑感
コラムの間で
[2] タイトルや見出しを決めるのは編集者の大事な仕事のひとつ。この仕事を始めた頃はそれが苦手で、雑誌に掲載する文章のタイトルや見出しのつけ方で何度ダメだしをされたことか。このページのタイトルも本当は悩みに悩んでつけました、と言うべきところなのだが、じつは意外とすんなりとここに落ち着いていた。

 「編集者のコラム」ではなく「コラムの中の…」なのは、編集者なんて依頼して書いてもらうコラムにはさまれて生きているような存在なので、という思い(よく言われる“黒子的存在”)もあったかもしれないけれど、じつはそれよりもコラムのもうひとつの意味、つまり「円柱」の間をこそこそ動きながら本を作っている自分の姿を素直に言ってみたというほうが正直かもしれない。
この場合のコラム=円柱とはもちろん事務所に山積みになった本で、その中にうもれながら毎日一人で這うように仕事をしていると、時々本の隙間から姿をみせるクモすら、同居人として愛しくなってくる。さすがにゴキブリや蚊まで愛ではしないけれど(このビルには、なぜかやたら蚊が多い)、『虫の生活』をつくっている頃は、蚊に人格を感じてしまって、叩きつぶすのをためらって、追い払っていた(この連作短編風の小説で最初の章に出てくる主役は「蚊」なのです)。

そういえば、学生から社会人になってすぐ、毎日のように新宿に飲みに連れて行ってくれた上司の今は亡きTさんは、いつもボトルに名前の代わりに「虫」と書いていた。きちんと理由を聞かなかったけれど、Tさんは自分を虫と思うことで心の安らぎを覚えていたような。私の「虫的人間」とのつきあいは、もう20年以上前に始まっていたわけで。

 ちなみに前回ふれた「みんなのうた」のフンコロガシの歌の題名は「フンコロガシは、忙しい」。作詞・作曲「つかもと・ひろあき」でした。つかもとさん、『虫の生活』読んでくれたかな。(06.10.1)

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://gunzosha.blog110.fc2.com/tb.php/2-40b07706
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック