「編集者のコラム」ではなく「コラムの中の…」なのは、編集者なんて依頼して書いてもらうコラムにはさまれて生きているような存在なので、という思い(よく言われる“黒子的存在”)もあったかもしれないけれど、じつはそれよりもコラムのもうひとつの意味、つまり「円柱」の間をこそこそ動きながら本を作っている自分の姿を素直に言ってみたというほうが正直かもしれない。
この場合のコラム=円柱とはもちろん事務所に山積みになった本で、その中にうもれながら毎日一人で這うように仕事をしていると、時々本の隙間から姿をみせるクモすら、同居人として愛しくなってくる。さすがにゴキブリや蚊まで愛ではしないけれど(このビルには、なぜかやたら蚊が多い)、『虫の生活』をつくっている頃は、蚊に人格を感じてしまって、叩きつぶすのをためらって、追い払っていた(この連作短編風の小説で最初の章に出てくる主役は「蚊」なのです)。
そういえば、学生から社会人になってすぐ、毎日のように新宿に飲みに連れて行ってくれた上司の今は亡きTさんは、いつもボトルに名前の代わりに「虫」と書いていた。きちんと理由を聞かなかったけれど、Tさんは自分を虫と思うことで心の安らぎを覚えていたような。私の「虫的人間」とのつきあいは、もう20年以上前に始まっていたわけで。
ちなみに前回ふれた「みんなのうた」のフンコロガシの歌の題名は「フンコロガシは、忙しい」。作詞・作曲「つかもと・ひろあき」でした。つかもとさん、『虫の生活』読んでくれたかな。(06.10.1)
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